幻のビートル・ギター KENSINGTON の復刻に続いて、当クレーンギターズがまたも独自の企画/プロデュースで幻のギターの復刻に挑みました。今回は右の写真、映画『HELP!』の中で「悲しみをぶっとばせ(You've Got to Hide Your Love Away)」が流れる場面でもお馴染みの、ジョンが手にしているドイツFRAMUS社製12弦アコースティック・ギターHOOTENANNY。ナチュラル仕様のオリジナルは殆ど現存せず、あってもとんでもない高値で売買されてしまう、この幻のギターの復刻です。独FRAMUS社製のオリジナルに関しては下記「a short stroy」を読んでいただければと思いますが、今回も数多の難題をなんとか乗り越え、可能な限りオリジナルの仕様を踏襲し、完成しました。

 このやや小柄なボディと柔らかいテンションが生み出す軽やかな12弦サウンドはHOOTENANNY独特のものです。ビートル・フリーク、ジョン・レノン・フリークにとってまさしく必見のこのギター、初号機がついにクレーンギターズに入荷しました。興味をもたれた方は、どうぞお早めにご来店くださいませ!

 




    CRANE GUITARS presents
HOOTENANNY SPECIAL

SPECIFICATIONS
Neck : African Mahogany
(set neck / scarf-joint)
Tuners : Gotoh Custom made Open
type (pitch : 26mm)
Fingerboard : Rosewood
Scale : 647mm (12F Joint)
Nut width : 50mm
Body width : 375mm
Body Top : selected Spruce
with rosetted soundhole
Body Back : Laminated Sapeli
Mahogany
Bridge : Adjustable Rosewood Bridge
Tailpiece : Brass (chrome plated)
Case : Custom made hard case
(fake croco-leather)

価格: ASK

お問い合わせはクレーンギターズまで





 今回の復刻版「HOOTENANNY SPECIAL」は、ジョンが所持したのと同じ65年FRAMUS製のオリジナルからの厳密な採寸のもとサイジングされています。この異様な程長く、そしてとんでもなく分厚いヘッドも本物から採寸し復元されています。ネックの材はマホガニー。勿論オリジナルの構造同様に、スカーフジョイントも復元しています。

 そして今回最大の難関といえるのがこのペグです。オリジナルは26mmピッチという、今ではありえない(笑)規格のペグを採用していますが、今回のために、日本がほこる世界のGOTOH にペグ製作を依頼。少数のオーダーゆえ、決して安価ではないコストでしたが、GOTOHさんの技術はさすがです。オープンバックで26mmピッチ、そしてプレートのシェイプも本物に近い形状で復元することができました。

 

 

 限られた数のオーダーだったため、GOTOHさんはハンドメイドでこのペグを製作されたそうです。トルクや安定性はさすが世界一! 本物のペグを軽く凌駕するその精度には驚きです。このGOTOHの素晴らしいペグ精度を維持するため、ポスト部分のブッシュはオリジナルとは形状がやや異なるパーツを採用していますが、それでも今回はネジ穴の位置や数は勿論、スクリュー(マイナスのネジです)にいたるまで、本物同様に復元しています。

 また、ペグのポスト間ピッチが広めなため、チューニングも(他の12弦ギターに比べて)楽にこなせます。是非この弾き心地は店頭でお試しいただきたく思います。


 こだわりの復刻部分は他にもあります。オリジナルのピックガードは実はベッコウ柄で裏から黒く塗装されている、という変わった仕様なのですが、勿論それをそのまま復元、オリジナル同様にマイナスのビスでトップ板にネジ止めされています。

 また、このギターのルックスで最も重要なパーツであるテイルピース。ブロックはブラスの削り出しです。そしてボディに止める「蝶番」部分、ここが難関でした。オリジナルでは一般的なブランコ・テールピースとは取り付け方が逆巻きになっているのです。今回は下町の工場に無理を言ってこの逆巻きをなんとか再現しました。そうした細かい部分も、是非店頭でご確認ください。

 

 

 パーツのみならず、ボディ本体の仕様にも細心の注意を払い復刻されています。ラウンドホールに張られたローゼットは、放射状に杢が広がるデザインで、それをチェッカーのバインディングが中央/外側両方から挟み込んだデザインですが、それを忠実に再現しました。

 また、上記スペック表からは分からない部分ではありますが、今回はブレイシングは勿論ですが、その材のクオリティと杢の見た目にまでこだわって選定された木材が使用されています。スプルースにはオリジナルとほぼ同じ導管間隔を持ったものを、そしてサイド/バック材にはオリジナルと同じサペリ材を選んでいます。これは既製の合板材ではなく、今回の復刻のために新たに張り合わせされた材となります。勿論その厚みも、本物と同じ厚さの材となっています。


 そして仕上げの細かい部分ではありますが、ボディ内部に張られたラベルも、本物のFRAMUSのラベルを参考に、デザインされています。本物には「BUILD IN THE HEART OF BAVARIA」の文字がありますが、今回はドイツの職人技術に敬意を表し「LEGEND IN THE HEART OF BAVARIA」としてみました。塗装はクリアのラッカーです。ジョン・レノン本人が手にしていた新品当時のHOOTENANNYをイメージしたため、カラー処理は一切なされていません。

 

 

 特製のハードケースは、前回のKENSINGTON同様、ワニ革を模したフェイクレザー仕様のハードケースです。今回はこのケースも勿論ですが、前述したGOTOH製のカスタム・ペグ、そして勿論ギター本体にいたるまで、全て日本の職人さんの高い技術が集結した、純メイド・イン・ジャパンです。日本の高レベルな職人気質による精密な技術とその芳醇なサウンドをお楽しみいただけるギターに仕上がった、と自負しています。

 このギターの持つ独特のゆるめのテンション感と、キラッと跳ね返る復弦のサウンドはまさに「悲しみはぶっ飛ばせ」で聞くことの出来るあの音色と同じです。ご興味を持たれた方は店頭まで是非ご一報ください。






 FRAMUS社は第2次大戦後には(HOFNER社と並び)ドイツを代表する一大楽器メーカーとなった会社です。プロ向けの高品質楽器と同時に、学校等の教材として使用された楽器も多種類/多数製造していたことから、丁度日本でのヤマハやカワイといったメーカーに相当するブランドであったことが伺えます。FRAMUS社は70年代に一旦経営を終了しますが、その後創始者の息子さんが会社を受け継ぎ、現在WARWICKという社名で多数の名作エレキベースを発売しており、日本でもお馴染みかと思います。

 1960年、この12弦ギターHOOTENANNY(正確にはこの名はニックネームで、正式なモデル名は5/024というナンバーになります)は初めてFRAMUS社のカタログに掲載されました。当初はスロッテド・ヘッド、サンバーストのカラーのみで、テイルピースもGIBSON等のブランコ・テイルピースに近い形状をしていました。1962年以降はほぼ同じスペックながら、後付けのピックアップが搭載された「エレキ仕様」も発売されています。また、この後にヘッドがスロッテドからソリッドになり、テイルピースも削り出しのものに変更される等の仕様変更も行われました。そして1965年から、FRAMUS社はこのギターを 英国や米国に輸出 し始めています。

 

 

 一説にはジョン・レノンはこのギターを65年初頭に入手した、と言われています。ジョンの手にする同モデルは64年以降の仕様で、イギリスで入手していることからも、説の信憑性は間違いなく高いと思われます。そして同65年アルバム『HELP』の中で、更に同名映画の中でお目見えしたことで、一気にこのギターは有名になりました。FRAMUS社は当時、同社の広告に映画『HELP』のスチール写真(本ページの一番上に掲載した写真)を使用しており、公式にジョンのギターとして喧伝されたギターということになります。

 ちなみに左に掲載したHOOTENANNYの米国輸出モデルは、ラベル等は同じながらもメイプルのサイド&バックのギターであること、更に60年代後半にはすべて14フレット・ジョイントに変更されたこと等から、その仕様は時代や状況に応じてかなり流動的だったであろうと推察されます。またFRAMUS社はこのHOOTENANNYと全く同時期、同じボディ・シェイプでメイプル材のサイド&バックを持った"CAMPING KING"という12弦ギターも発売しています。


(写真上)映画『HELP』で、HOOTENANNYを弾くジョン。
(写真下・左)60年代製のFRAMUS HOOTENANNY。こちらは独FRAMUS社がアメリカ輸出用に製造・出荷したと思われるモデル。後にサンバーストからナチュラルにリフィニッシュされたもの。
(写真下・右)スタジオにてHOOTENANNYを弾くジョージ・ハリソン/下の写真は現在独FRAMUS VINTAGE博物館に展示されている65年製のHOOTENANNY。実はこのFRAMUS社の公式博物館にもHOOTENANNYはこのレフティ1本しかない。




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